TTL ICのみで作る 5桁周波数カウンター
周波数カウンターは、専用LSIや、プログラムと簡単な工作で済む PICが主流である。しかし、デジタル・ロジックのハード面をよく理解するためには、TTL
IC単位で回路を組み立てていくのが最善と思われる。そこで、回路はやや複雑になるが、あえてTTL
IC(74シリーズ)のみによって作成してみた。(→ TTL ICの規格表のあるページ)
(注) 既製のLSI内部ではほとんどが16進の同期カウンタを用いています)
* 周波数カウンターの入力部に、V/f (電圧/周波数)コンバーターを置くと
デジタルmV計となります。 さらに、このmV計の入力に、温度、光、赤外線、音波、磁気、圧力、pH、アルコールなどの各種センサを入れると、それらのパラメータを定量的に表示できる
それぞれの計測器となり、このような各種のキットは(周波数カウンターと比べて、それぞれの数値が調整しやすいので)市販されています。
(1) 全体のブロック図:(数字は、74LS××の意味です)
測定カウントの周期は、0.1S、0.01S、0.001Sに切り替えられるようにし、同時に、LEDのD.P(ドットポイント)の位置も切り替える。
ダイナミックドライブの周期は、発振回路から1kHzを入れ、1000/6=167Hzとする。
(2) カウンタ本体と入力処理部:
非同期カウンタ(90)、D−FF×4(175)、ANDゲート(08)を縦につなげ、1ユニットとする。このユニット5個を桁上げ出力から上位桁の90のINへと横につなげる。
発振回路からのラッチ/リセットのダブルパルスを、カウンタのリセット(RES)、および、FFのクロック(CK)に入れると、リセット後からカウントされたBCD出力は、測定間隔の後に175に4ビットずつ記憶される。パルス幅は1.4μSなので、測定間隔(0.1S、0.01S、0.001S)と比べ誤差は3−5桁程度になる。(発振器のトリマを除いてそのまま水晶の精度としても良い) ダブルパルスのファンアウト数(=一つの出力から、いくつの入力を駆動できるかの数)は04(インバータ)により10程度。
08(ANDゲート×4)は表示をダイナミックドライブをするために設け、さらに08相互の逆流防止のためダイオードと抵抗を入れて4ビットのデータバスを共有する。
入力信号(min0.5Vp−p程度)は、1000p と 1μのコンデンサーを並列に入れ、数MHzの高周波から数100Hzの低周波までカバーできるようにする。(TTL
ICは原則10数MHzまで動作する) 2個のFET(2SK241GR)で高速の電圧リミッタを構成し、4V程度の一定電圧に増幅した信号を、一度74HC00(High
speed C-Mos: 高入力インピーダンス)に入れ、出力をTTLレベル(5V、低インピーダンス)にしてから次のカウンター回路に送る。
(3) 7セグメント表示回路:
7セグメントLEDの表示回路は、一般的に用いられている ダイナミックドライブ方式にする。
そのためには、リングカウンタ(174+260; カウンター表示回路(2)の(1)参照)でQ1からQ6までの信号を作り、Q1−Q5を、カウンター回路のANDゲート(08)およびLED表示機のトランジスター(2SC1815)のベースに、それぞれ同時に入れ、残りのQ6信号を処理してFF(74)と260によりブランク信号(0のときブランク状態)を作り、47(デコーダ/ドライバ)のBI/RBOに入れる。
7セグメントLEDには高輝度LEDを用いて、ダイナミックドライブによる輝度の低下を極力防ぐ。(トランジスターのベース抵抗:
1kΩ×5、47の出力抵抗: 120Ω×7)
ブランク回路は、最上桁(Q1)から これが0(= 0、0、0、0)ならば消灯(47のBIは”0”で消灯)し、いずれかの桁で0以外になればその後は最下位桁(Q5)まで”1”となって表示する。リセットにQ6を反転させたパルスを入れることにより、この期間に強制的に74LS74の出力Qを”0”に戻す。(注:74のリセット(クリア)は”L”のとき有効)
また、最下位桁(Q5)は無入力時に他がすべて0で消灯しても”0”を表示するため、74の出力にQ5とのOR(74LS32)を入れる。
ドットポイントは330Ωでアースした。トータルの電流値は約0.3Aで、電源には5Vレギュレータ(7805)を使用した。入力のBNC−Jには1.5D2Vで配線した。
別の水晶発振器入力(f = 10.000MHz)による この周波数カウンターの測定精度は、3〜4桁程度だった。(つまり、5桁目はまったく信用できない数値。 2tw = 1.4(μS)の補正が必要。)
* 複雑なので、動かない場合は、基板の回路や配線にミスがないかチェックしてください。TTL
ICはC-MOSと違ってそう簡単には壊れません。
* オーバーフロー時の0表示は、さらに一桁増やして行う必要があります。
* 電卓の出初めの頃は、四則演算だけで1台30万円もしましたが、今は100円ショップで100円くらいで、しかもソーラー電卓です。世界最初の電子計算機”ENIAC”(1946−55稼動)は、真空管を17468本も使い、総重量30トン、消費電力150kWで、プログラムは人が配線したそうです。それが
トランジスタの発明、IC、LSIの技術によって非常に小さい面積に集積化され、順次、小型・軽量、高速、ローコスト化されていきました。さらに20世紀末には、WINDOWSなどの使いやすいOSの開発でパソコンが一気に大衆化しました。
しかし、論理回路の構造や、一つ一つの素子の反転増幅機能は、今もまったく変わっていません。
2進法は、まさに、創造主である「神の論理」です。 → 論理回路